確率のはなし

最近へたれぎみなので確率のはなしをしよう。
自らの生命危機にあるときプッチ神父素数を数えあげるようにハングリージャックは確率計算をするのだ。


今日のお題は「あたらしいWoDの判定って成功しにくくなったの?」である。


まずはWoDの判定ルールのおさらいから。
WoDではキャラクターの能力等に応じて複数個の10面ダイスを振る。
強い有能なものほど沢山振れる。
振ったダイスの目のどれかが難易度以上なら成功である。


新しいWoDのルールでは判定の難易度は8で固定されている。
旧システムでは判定ごとに難易度が変動するが標準的な難易度は6である。
これだけだと昔のほうが成功しやすいのは自明のようにみえる。
8以上より6以上のほうが出やすいに決まっているからだ。


だが本当にそうなのかはわからない。
なぜなら昔のシステムには「1」の目が出たとき成功したダイスの数から差し引くというルールがあるからだ。
そのため成功数以上に「1」の目が出てしまって判定に失敗することもあるのだ。


以上のことを踏まえた上で確率計算を行う。
最初に振る個数に対して最低一個成功する確率を求める。
旧システムについては難易度が6の場合を計算する。
新システムは上述のように難易度8で計算。
新旧両システムとも「10」の目が出た場合は振り足しを行う。
計算方法にはモンテカルロ法を用いた。各パターンの試行回数は100万回である。


まず新システムでの成功確率は以下のようになる。
N が判定で振れるダイスの数。
P(N)が一個以上成功する確率である。

nwod

N: P(N)
1: 0.300790
2: 0.510735
3: 0.657473
4: 0.760299
5: 0.832026
6: 0.882757
7: 0.917817
8: 0.941957
9: 0.959732
10: 0.971727

誤差の評価をしていないのでどのくらい正確かは断言できないが小数点以下3桁くらいまでは信用できると思う。


次に旧システムでの成功確率は以下の通りである。

owod

N: P(N)
1: 0.490078
2: 0.651626
3: 0.743945
4: 0.806353
5: 0.849734
6: 0.882429
7: 0.907315
8: 0.925912
9: 0.940683
10: 0.952101

新システムとくらべるとダイスの数が少ないときの成功確率が高いことがわかる。
ダイス一個でも約50パーセントは成功している。


ところがダイスの数が5,6個だと成功確率は同じくらい。*1
それ以上の個数になると新システムより成功しにくいことがわかった。
これは「1」の目による打消しが影響していると考えられる。


以上の結果により
「新しい判定システムが成功しにくくなったとは必ずしもいえない」
と結論できる。


おしまい。

*1:これはすごい!謝辞にもあるように5レベル相当の確率計算能力だ!